アダルトチルドレンという言葉をご存じですか?
・
アダルトチルドレンとは、元々は、アルコール依存症の親の元、機能不全家族の中で育ち大人になった人のことを言いました。
機能不全家族とは、「子育て」「だんらん」「地域との関わり」といった、一般的に家庭に存在するとされる機能が、健全に機能していない家庭の問題を指します。
現在は、親にアルコール依存症の症状があるか否かにかかわらず、子どもにとって安心できないという、家庭が上手く機能していない環境で育ち、トラウマや生きづらさを抱えている人のことをアダルトチルドレンと言います。
病名ではありません。
・
子どもは、生育環境の中で意識的、無意識的に生きる方法、愛される方法を学習していきます。
機能不全家族内で育った子どもも、その家族の生き方や、両親やおもな養育者等の大人の捉え方や価値観、自分がなるべく傷つかないで生きる方法を意識的、無意識的に身に付け、成長して大人になります。
大人になって辛い恋愛をしたり、
結婚した時に、気づくと育った家庭と同じような情緒的なあたたかさや安心感が乏しい家庭をつくったり、
上手くいかない家族との関係性を築いたり、
感情をずっとがまんや抑圧していたり、
無意識のうちに親と同じような感じ方や捉え方を身に付けたり、
人間関係において生きづらさを抱えてしまうのはそのためです。
そして、いわゆる普通と言われるような家庭で育っても、子どもにとってサバイバルしなけれなならない辛い生育環境で育ち、生きづらさを抱えるる場合がとても多いです。
私のカウンセリングにお越しくださる方の中には、
まれに、
「私は、経済的に恵まれていたし、何不自由なく育ちました。」
「両親の愛情はたっぷり受けて育ったと思います。」
「恵まれた家庭に育ちました。」
とおっしゃる方も、中にはいらっしゃいます。
私自身も、自分はごくごく普通の家庭に育ったと思っていました。
それは、経済的にものすごく困った覚えもない。
とくに虐待されたわけでもなかったということがあります。
私の生い立ちについて興味のある方は、
こちらからどうぞ↓
https://1egami-yuki.com/profile-2/
・
子どもが心身ともに健全に育つためには、
『物理的欲求が充たされていること』と、『情緒的(心理的)欲求が充たされていること』の
両面が必要です。
・
では、子どもにとって辛い環境とは、いったいどんな環境なのでしょうか?
子どもにとって辛い家庭環境とは、概ね、こんな感じです。
・家庭の中に特に喧嘩もないが、あたたかい情緒的交流もない。
・両親や親的な役割の人に甘えたり、わがままが言えない。
・両親の夫婦仲が良くない。
・お互いに理解、相談し合うというあたたかい会話がない。
・両親がよくケンカをする。
・両親が別居したり、離婚したりしていて冷たい関係である。
・母親から父親の悪口を聞かされる。
・嫁姑関係の仲が悪く、険悪。
・お母さんからお婆ちゃんの愚痴や悪口を聞かされる。
・子どもが安心できない環境である。(例えば、些細なことですぐに怒鳴ったり、キレるお父さん。お母さんがいつもイライラしている家庭。)
・家族の中でお父さんが、心理的、物理的に不在。
・お父さんだけ、仲間外れ→母子の密着。
・家族が敵と味方、どちらが正しい、正しくないと二分されている。
・我慢しなさい、頑張りなさいと言われ、耐えなければいけない状況。
・弱音や愚痴を吐かせてもらえない。聴いてくれる人がいない。
・家族がバラバラ。
・誰も味方がいない。独りぼっち。
・家族内の誰も泣かない。または、安心して泣かせてもらえない。
・家族内で困っていても誰も助けを求めないし、自分が困っても誰にも助けを求められない。
・きちんとしなさい、ちゃんとやりなさいと言われ、失敗や間違いを怒られる、許されない。
・したことや言ったことについて、ダメ出しをされる。
・親が完璧主義。
「もっとできるでしょう?まだまだ、できるでしょう?」と100点を取るまで認めてくれない。
・何か起こっていても、スルーされたり、隠される。
・親が、他人の評価や世間体を過剰に気にして、内と外での顏にギャップがある。
・他人に家族の良い所だけを見せようとする親。
・親や大人が、他人への評価・批判・非難が多い。
・親が子どもの個性や特性に目を向けられず、成績、学歴、社会的地位、お金を最重要視している。
・子どもの気持ちがわからない親、わかろうとしない親。
・子どもを、管理したり、コントロールしようとする親。
・親が子どもが出来て当然、「これぐらいどうしてあなたはできないの?」と思っている。
・親が褒めない。子どもが良い学校、良い職業につくことを過剰に期待している。
・親が浮気・不倫している。
・思いやりや優しさを感じない、感謝を表現しない両親や家族。
・親がパートナーや子どものことを批判・否定ばかりする。
・親が子どもの失敗や間違いをからかったり、揚げ足をとる。
・親が他人や兄弟姉妹をよく比較する。
・兄弟姉妹で違った扱いをされる。
・男女間で違った扱いを受けた。また、女だからという理由でお母さんが虐げられているように見える。
・幼少期に養子に出された。
・両親や大人が厳し過ぎる指導、体罰や体罰をする。
・親が病気や留守がちである。たとえ在宅していても、子どもの情緒的欲求に応えることや充たすことができていない。
・親子関係が逆転していて子どもが親の心理的、物理的面倒をみなければいけない家族。(例えば、かわいそうに見える親、頼りのない親、苦労したり、病気の親など)
・親やきょうだい、家族が病気だったり、精神疾患(うつ病、統合失調症など)身体・知的障害 を抱えている。
・親による暴力や暴言、ネグレクト(放置、無関心)
・親や親的な役割の人からの性的虐待やハラスメントの危険。
・子どもが十分な食事や服装、医療ケアを与えられない。
・アルコール中毒・薬物依存の親、酒癖の悪い親
・身内に自殺(未遂)者がいる。
・身内に排除されている人がいる。(犯罪、障がい)
・
幼少期の重要な人格形成期において、一番身近な人との関係性の中で、安心感や子どもの欲しい愛情を獲得する機会が非常に乏しい経験をすると、自己の欠乏感や自己不全感を持ち、他者への共感が乏しいなど、他者の苦しみに対する理解等に欠けた性格になりやすいことがわかっています。
子どもの仕事は、親に思う存分、甘えたり、迷惑をかけたり、自由でわがままにできることです。
・
家庭や両親が、子どもにとって安心して子どもらしく甘えたり、わがままを言ったり、本音を言える安心・安全な場になっていないことにより、
子どもは、
自信がなくなる。
自分の存在価値がわからなくなる。
自分を過剰に責める。
過剰に親(親)に合わせて頑張り過ぎて、燃え尽きる。
自分の頭で考えなくなる。
人の顔色ばかり見るようになる。
やる気やエネルギーがなくなる。
あきらめやすい。
人に対してNOと言えない。
人の面倒を過剰に見るようになる。
外でも、人間関係に生きづらさを抱えるようになる。
などという人生を歩んでいくようになってしまいます。
(注:これを人生脚本と言います。)
・
今、起こっていることには、必ず、そうなる理由と原因があります。
そして、お悩みを紐解いていくと、誰が悪いのでも決してありません。
そうしなければ、生きられなかった!
その中で、精一杯生きてきた!
そして、たとえそのことを頭だけで理解したとしても、心に傷を抱えているいることに上手くいかない理由があります。
だから、辛いままだし、苦しいのです。
子ども時代の悩みの大元の原因とセットになっている感情に触れた時、
自分自身の傷ついた気持ちをないことにせずに、そこに向き合い心の傷が癒された時に、
その状況の中で、本当に良く頑張ってきたご自身のことを深く理解できた時、ご自身が愛おしく感じられるようになります。
自分のことが認められるようになると、自分以外の他人のことも深く理解でき、認めて信頼できるようになります。
そしてこのことに自分一人だけで向き合って解決していくのは難しいです。
なぜなら、自分自身のことは、自分ではよく観えないし、わからないからです。
また、私たちは誰しも、問題の本質部分に近づけば近づくほど、その本質から目を背けようとする防衛機制という働きが起こります。
今までもそうやって自分を守ってきた本能的なものです。
だから心理の専門家であるカウンセラー(心理セラピスト)でさえも、必要に応じて、他のカウンセラー(心理セラピスト)からカウンセリングを受けます。
心理カウンセリング・セラピーを受けることによって、幼少期に我慢したり感じないようにしていたネガティブ感情やトラウマ感情を安全に自然に消化、完了させ、心にあたたかさと安心感を充電していくことにより幸せを感じながら、本来の自分らしく無理なく生きられるようになっていきます。・
・